ディープインパクト物語

去年の話だけど有馬記念は結構いいレースだった。
自分はディープインパクトの存在を意識し始めたのは
デビュー戦のすぐ後だった。
いつもの様に休日、自宅で競馬中継を見ていると
新馬ながら驚異的な追い込みで初勝利を挙げる競走馬に久々に鳥肌が立った。
よく見ると鞍上はユタカだった。
すぐにネットでこの馬の事を調べると
自分が好きなブラックタイドの弟という事が分かった。
兄とは違う風貌が少し気になったが、競争能力は間違いなく兄より上だと思った。
その日から当時、専門学校に通っていたのだがクラスの友達等に
来年のダービーはディープが絶対勝つと真剣に言っていたのを思い出す。
友人もお前がそんなに言うならダービーでディープの馬券を買うという事で
まだ半年以上先のレースに行くという約束をしたのもw
自分の思う通りにディープは無敗で勝ち進み、ダービー当日
自分は友達2人と中山競馬場のターフビジョンの前にいた。
レースはもちろんディープの圧勝、しかし!w馬券の方は
ディープ1着固定で2着にローゼンクロイツアドマイヤジャパンで撃沈w
馬券は外れたけどディープを2歳時から注目していた自分の相馬眼に間違いは無かった!と
思うのと同時に友達に恨まれなくてホッとしたのを覚えているw


でも、あの日辺りから自分の中でアンチディープの気持ちが生まれた。
以前はディープインパクトという名前を出しても何それ?という人が殆どだったが
ダービー以降殆どの人が彼の名前を知っていた。
自分は昔からだけどマイナーな物を好む傾向があって、あまりみんなが持っていたり知っている物は嫌いな方だ。
そんな性格もあってその日以降、ディープを応援する事を辞めた。
ダービー以降のレースを見に行っても素直にディープを応援したいのだが
負けてくれ!という変な意地の様な物の方が強かった。


ディープが唯一負けた3歳時の有馬記念当日、自分は中山競馬場のゴール前でレースを見ていた。
先行策から抜け出して粘るハーツクライ、中山の2500mでは不利な追い込みで迫るディープインパクト
自分はゼンノロブロイ絡みの馬券を買っていたのだがハーツを応援していた。
レースが終わり帰りの電車の中、ディープの連勝が止まりとても悔しかったのを思い出す。


人の前ではアンチディープなのだが、毎週の様にコンビニで競馬雑誌を立ち読みしてディープのニュースを探した。
それから月日は流れディープの初海外遠征となった凱旋門賞、自分はTVの前でレースを見ていた。
結果はご存知の通りだが、レース後のレポーターに無言で立ち去るユタカの姿に涙した。
以前はレース後あまり悔しがらないユタカがどこか好きになれなかった自分だったが
その日、ユタカに対する評価は変わった。


結局、引退レースを終えるまでアンチディープの気持ちは変わらなかったが
レース後、色んな意味で寂しい気持ちでいっぱいになった。
自分が思うにこの馬を超える馬は今後出てくる気がしない。人気、実力共に。
この馬を通して色々な人とも話が出来たし色んな経験も出来たし、夢も見れた。
現役時は素直に応援する事は出来なかったけど、誰もが認める最強馬。
生きてる間にディープインパクトを生で見れて良かったです。
また、あなたの子供で夢を見させて下さい。
素直に応援できなくて、ごめんなさい。